Undesirable Elements 『生きづらさを抱える人たちの物語』 公演レポート

2019年1月、パフォーミングアーツ・グループとして初の演劇公演「Ping Chong’s ドキュメンタリー・シアター Undesirable Elements 『生きづらさを抱える人たちの物語』」を東京芸術劇場 シアターイースト、グランフロント大阪 ナレッジシアターにて上演しました。

 

本公演はマルチメディア演劇のパイオニア的存在でもあり、2014年にはアメリカで芸術家への最高の栄誉であるNational Medal of Artsを受賞した演出家ピン・チョンによる〝Undesirable Elements(アンデザイアブル・エレメンツ/存在を望まれない分子たち)″の最新作であり、1995年読売演劇賞作品賞を受賞した『ガイジン~もうひとつの東京物語』以来、実に24年ぶりの日本での創作です。

本作では現代の日本社会で様々な「障害」や「生きづらさ」と向き合う6人にスポットを当て、演出家の阪本洋三とともに、社会に潜む課題に切り込んでいきました。公募で選ばれた6人全員が聴覚障害、視覚障害、脊椎損傷、難病、性別違和などを抱えており、自らの人生を時系列に語っていくスタイルです。 

 

2018年12月、選考で選ばれた出演者とピン・チョン、阪本洋三、制作チームと共に都内での稽古が開始しました。稽古は平日夜6時から9時、土日は朝10時から夕方5時まで。6人からヒアリングした話をもとに作り上げられた台本を読み合わせ、一つひとつの言葉やその時の気持ちを丁寧に確認し、修正を重ねていきました。そうして出来上がった台本のセリフを、出演者は徐々に自分の中に落とし込んでいきました。 

 

ピン・チョンは稽古前に必ず準備運動を行い、遊びを取り入れながらチームとしての一体感を生み出していきました。やがて稽古中に自分のセリフ回しだけではなく、誰かがセリフを言い忘れた際に他の出演者がとっさにフォローするなど、自然と連携していく空気が生まれていきました。また、出演者の1人で、画家の岩本 陽さんがチームの似顔絵を描いてプレゼントをしたり、視覚障害のある成田由利子さんが移動する際に誰かが当たり前のように手を差し出すなど、助け合い、繋がりあっていきました。 

  

 

2019年1月、約1か月半の稽古を終え、東京公演と大阪公演、合わせて7回上演しました。新聞やテレビ放送、口コミにより、東京公演は連日満員御礼、大阪公演も多くの方が劇場へお越しいただきました。観劇される方々の熱気を受け、出演者も全ての想いを舞台で出し切りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

この作品は「人と少し違う」ということで差別や偏見にさらされながらも前へ進もうとする人々の物語であり、根底には自らの人生を生き抜く力強い意志と未来への希望がこめられたものでした。だからこそ、多くの人の心を揺さぶるものとなりました。個々の物語が積み重なって大きな歴史となってきたように、彼らの声が重なり合い、やがて大きな輪となって社会に広がっていくと期待します。

 

写真|冨田了平
                         レポート|日本財団DIVERSITY IN THE ARTS 奥本